大人の英語学習において[気づき]を得ることの重要性
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辞書は…歩ける?
私は、いわゆる問題集を何冊も使って机に向かってコツコツ勉強したり、単語を暗記してたくさん頭につめ込んだり、といった勉強法が苦手です。
苦手、というより、そもそもあまりしたことがありません。
それでも、高校の時には、英語圏の友人達に、たまたま単語のスペルが出てこないといった時に何度か頼りにされた記憶があります。
「○○は、ほんとにWalking Dictionaryだよね」と笑顔で言われて、とても嬉しくなったのを覚えています。
他にも、こんなことがありました。
とある日の電車の中で…
大学生の頃だったか、帰りの電車に乗っていると、突然、とある外国人の方に「ねえねぇ…」と英語で話しかけられました。
私は、特に高校生くらいから、ずーっと日本人以外のアジア人か、または、日系アメリカ人などに間違えられるという経験をこれまでに何度もしてきているので、またその類かな、と思ったら、
「君の手の甲に、specificってペンで書いてあったから、話しかけたんだ。僕のまわりには英語があまり話せない人が多いんだけど、綴りを間違える人だっているspecificという単語を正しいスペルで書けているから、これは英語が話せるな、ってピンと来たんだ!」とのこと。
そう言われて、自分の手の甲に目をやると、確かにそこにはspecificと書かれていたのです。
< んーそれにしても、そんな理由で話しかけるなんて、だいぶ賭けだよなぁ… 。>
とは思いましたが、気持ちがいいほどフレンドリーな男性だったので、降りた駅もちょうど同じだったということもあり、道が分かれるところまでは、いろいろな話で盛り上がりながら、一緒に歩いて帰ったことを覚えています。
英語を勉強したかったら、海外に行かなきゃだめなの?
さて、高校時代の友人達にwalking dictionaryと呼ばれていたという話に戻りましょう。
例えば、日本が大好きで、一生懸命、日本語や日本の文化について勉強して日本語がとても堪能になった外国人の方って、日本人は普段何気なく使っている漢字の歴史やなりたちまで、驚くほど詳しく知っている、ということってありませんか?
そして、日本語がとても上手に話せたり、日本のことをよく知っている外国人の方々は、たいていの場合、母国にいながら、独学で日本について学んできていることが多いと思います。
つまり、英語を話せるようになるために、必ずしも英語圏で生まれ育つ必要はないはずだということが言えるのです。

母国語以外の言語が理解できるようになるメリット
日本で生まれ育ち、日本語を母国語として生きてきた日本人が、何かをきっかけに、ある日突然、とある外国語に興味を持ったとしたら、そのきっかけになった‘何か’が、その人の人生をもうすでにちょっとだけ変えているのです。
ある人に出会う前と出会った後とでは、人生がまったく違うものになることと似ているのかもしれませんね。
母国語以外の言語が理解できるようになることで、世界・視野・可能性などが少しずつ拡がっていくような感覚を味わうことができます。
例えば、今までは耳に入っても気にもかけなかった音や、見えていなかったはずのものが、はっきりと聞こえるようになり、見えてくるようになると言い換えることもできます。
フランス語と私のひと夏の関係
大学時代のとある夏休みのことです。
私は大学の夏期休暇中にも講義を受けてみたかったので、せっかくなら新しい言語をということで、たった4日間ほどの短期集中講義ではありましたが、フランス語を受講することにしました。
ほんの数日だったにも関わらず、みるみるうちにフランス語に関する知識や理解が深まってゆき、ちょうど面白くなってきたというところで、残念ながら全日程が修了してしまいました。
そして、このフランス語の集中講義のおかげで、のちに私は小さな素晴らしい発見をすることになったのです。
その夏のある日に、家族の職場を訪れる機会がありました。そこには物心がつくずっと前から遊びに連れて行ってもらっていたので、もうすっかり見慣れた場所です。
ところが、洗面台の鏡の前に立ったその瞬間、ハッとしました。
おそらく、私が小さいころからずっとそこに飾ってあり、ここに来る度に、必ず目にしていた錨(いかり)の形をした木製の小さな鏡のふちに刻まれたフランス語の意味が、スラスラと頭の中に入ってきたのです。
意識をして周りを見渡せば世界は変わる
新たに母国語以外の言語の学習を始めると、日本を一歩も出なくとも、目に映る世界、耳にする音が変わってゆきます。
ー 行きつけの美容院の店名
ー 道行く人が着ている英語がプリントされたTシャツ
ー カフェやレストランで流れてくる洋楽の歌詞
さまざまな言葉の意味するもの、意図することが、見えてくるようになり、わかるようになります。
すぐには理解できないことや問題に直面したとしても、さらに経験を積むことで、一歩、また一歩と前に進むことができます。

拡がる視野と新しい可能性
外国語が少しずつわかるようになっていく言語の学習は、ひと言でいえば、ワクワクするような体験です。
もしもあなたが現在、英単語がギッシリの英単語帳や、TOEIC・IELTS・英検等の参考書を使った英語学習法を日々こなしているのなら、ひとつの英単語を文字の羅列として捉えて記憶させるのではなく、時には想像力をフルに働かせて、その単語が発せられるような状況や、話している人物のキャラクター設定など、思いつくままに自由に想像を膨らませてみてはいかがでしょうか?
いつかきっと、その英単語や英語表現を実際の場面であなた自身が使う日がやってくるはず。今は、そのやがて来る日のための予習をしているんだという気持ちでいることが大切です。
それこそが、言語を学ぶ本来の目的なのですから。
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